原生生物の採集と観察
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3 培養法


 原生生物の培養法には,1)採集してきたサンプルをそのまま培養する方式と,2)サンプルから特定の細胞を単離し,そこから培養を始める方式の2通りがある。1章ですでに紹介したように,前者は,さらに,採集したまま何もせずに放置する場合と,光や米粒などを与えて積極的に変化を促す場合がある。観察対象をとくに限定していないのであれば,そのままサンプルの中で起こる「遷移」を観察すればよい。サンプルの中に観察したい生物(例えば ゾウリムシアメーバ )がいることがあらかじめわかっていれば,対象生物が増えやすいように,好みの餌を与えたり,好みの環境条件を作ってやればよい。ただし,他の生物が混在していると,それらの中からも増殖するものが出てきたり,増えてきた他の生物の影響でお目当ての生物の数が減ってしまうこともある。とくに見た目ではわからないが,バクテリアや菌類は増殖が速いので,どのようなバクテリアや菌類が増えるかで原生生物の運命も左右される。このように1)そのまま培養する方式は,培養をスタートさせるのは簡単だが,その後が不安定で,長期間,安定して培養を続けることは難しい。
 一方,細胞を単離してから培養する方式は,培養ができてしまえば,安定して維持できるが,培養法がわかっている生物が少ないことや,培養法がわかっている生物であっても,単離培養をスタートさせるまでに手間がかかったり,うまく培養をスタートさせられないことが多い。

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