タバコモザイクウイルス

Tobacco mosaic virus. TMV


トバモウイルス属(Tobamovirus)に属すウイルス。

感染と病気

 タバコなどに感染し、モザイク様に緑色が薄くなる病斑をつくる。無症候性の全身感染性のウイルスもある。

ウイルス粒子と遺伝子

 長さ300nm、太さ18nmの管状粒子。コート(Coat)蛋白質が螺旋状に並んだ管状構造を作っている。コート蛋白質が並ぶラセンの周期(ピッチ)は、正確に.2.3nmである。他のウイルスを観察するとき、一緒にTMVを入れて置いて観察すると、この長さがウイルス観察レベルの物差しとして使われる。内側に一本鎖RNA遺伝子が、螺旋状にくっついている。

  岡田吉美らは、このウイルスが出来て行く過程(形態形成過程)で、遺伝子RNAとコート蛋白質との最初の結合が、《RNA遺伝子の一方の末端で起こり反対側の端に向かって遺伝子と蛋白質の結合が進んでウイルス粒子が形成される》と言う、それまで世界的に信じられていた説が間違っており、最初の結合は、3’末端側の少し内側で起こることをはじめて明らかにした。
Otsuki Y. 等 (1977) PNAS USA 74, 1913-3917.

(矢崎 和盛<法政大学>)


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