電子顕微鏡によるウイルスの検出



 病変部の細胞をすり潰し、すり潰した液をグリッドに載せネガティブ染色などで検出する。通常、細胞をすり潰した液はタンパク質など細胞の内容物の濃厚な液であることが多くこのままでは電子顕微鏡観察には不向きなこともある。このような場合には、すり潰した液や感染細胞そのものを緩衝液表面に広げ、表面に広がった細胞内容物をグリッドに吸着させてウイルス粒子を検出する方法もある(表面展開法という)。特定のウイルスが存在すると考えられる試料に、抗体を加えて沈殿させて観ることもある。

 グリッドに載せた試料に抗体(一次抗体:マウスで作った特定のウイルスに対する免疫グロブリンG抗体など)を結合させ、つぎにコロイド状の微小な金粒子を結合した一次抗体に対する抗体(二次抗体:ヤギで作った抗マウスグロブリンG抗体など)を結合させる。特定のウイルス粒子があれば、そこに金粒子が観察されるので、その存在が証明される(免疫電子顕微鏡法)。  (矢崎 和盛<法政大学>)

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