原子間力顕微鏡 AFM Atomic Force Microscope



 試料に探針と呼ばれる先をとがらせた針を近づけて行く。原子レベルの距離まで近づくと試料表面と探針の間に引力や斥力(反発し合う力)が働き始める。これを原子間力と呼ぶ。探針を一定の高さに固定して置いて試料表面を走査させると、試料表面の凹凸に従って試料表面と探針との間の距離が変化するので、互いの間に働く引力や斥力の強さと言った原子間力が変化して行く。逆に、探針をカンチレバーと呼ばれる微小なバネに付着させておき、試料表面を走査させるときに試料と探針との間に働く原子間力が一定になるようにする事もできる。この場合カンチレバーは、原子間力を一定に保つために試料表面の凹凸に従って上下にたわむ事になる。このたわみをレーザー光で検出して行くと、試料表面の凹凸や形状が可視化されることになる。これが、原子間力顕微鏡である。この顕微鏡では、高さの測定が可能である。原理的には、原子レベルまで見えることになっている。また、水溶液中の試料も観察可能であるので生物試料の新しい観察法として期待されている。現在、広く使われている探針の先端は、20nmの曲率半径であり、これより小さな物の形状のそくていはやや不正確となるので、より小さな曲率半径を持つ探針の開発が進められている。  (矢崎 和盛<法政大学>)


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