研究資材データベース構築&公開ガイド
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データベース閲覧ソフトとしてのWWブラウザ

 インターネットが普及する以前,データベースの多くは専用の閲覧ソフトを使って利用するのがごく当たり前と考えられていた。しかし,インターネットが普及した現在では,データベース閲覧ソフトに対する見方は大きく変化している。インターネット上にあるデータベースでも専用の閲覧ソフトを利用する場合もあるにはあるが,一般にはWWWブラウザ(Netscape, Internet Explorerなど)を使ってデータベースを利用するケースが圧倒的に多くなってきている。

 学術データベースの場合も,ネット上で公開するのが目的であれば,わざわざ専用の閲覧ソフトまで開発する必要はない。不必要というよりも,むしろ専用の閲覧ソフトがなければ利用できないようなデータベースは作るべきではない,ともいえる。学術情報は,本来,誰もが利用できる状態にあるべきだからである。ネット上で公開されるデータベースは,専用の閲覧ソフトではなく,一般に広く普及しているWWWブラウザで利用できることが望ましい。

WWWブラウザ/HTMLファイル/検索エンジン

 WWWブラウザで利用できる,ということは,そのデータベースの最終的な出力形式が,htmlファイルであることを意味する。しかし,ネット上で公開されているデータベースの中には,データベース本体は専用のデータベースソフトで管理し,ネットワークを経由してきた利用者の求めに応じて,その都度,htmlファイルを自動的に作成して発信するという形式と,はじめからすべてのデータをhtmlファイルの状態でサーバ上に配置してあるものの二種類がある。

 データベースを作る側からすれば,専用ソフトを利用してデータベースを構築する方が,より作りやすいし,それこそがいかにもデータベースらしく見える,という魅力がある。しかし,その場合は,通常,入力されたデータはデータベースソフト独自のファイル形式で保存されるため,WWWブラウザなど他の種類のソフトで直接閲覧することはできない。

 WWWブラウザで利用できるようにするためには,データベースソフト独自のファイル形式からWWWブラウザで見ることができるhtmlファイル形式に変換するシステムが必要となる。この場合,データベース作成過程のみに専用ソフトを用い,できあがった後は,すべてをhtmlファイルにしてサーバに置くのであれば問題ない。しかし,中には,上記のように,ユーザーからの求め(キーワードによる検索要求)に応じて,その都度,検索結果をhtmlファイルにして発信し,htmlファイルとしては残さない,という方式もある。このような方式だと,一括してデータ収集を行なう検索エンジンからの要求には応えられない場合が多い。

 結果としてデータ収集ができないため,このようなデータベースにあるデータは,外部の検索エンジンでは検索できないことになる。制作者側からすれば,データベースには自前の検索機能があるのだから,わざわざ外部の検索エンジンの世話になる必要はない,と思うかも知れない。しかし,一方の利用者側からすれば,特定の項目について情報を得ようとする際に,データベースごとに異なる検索手法に悩まされながら,個別に各データベースにアクセスして調べるよりは,検索エンジンを使って一括して情報を探索できた方が圧倒的に便利である。

 したがって,利用者の立場を考えれば,ないしは,より広範囲の人々に利用してもらいたいと考えるのならば,サーバに配置するデータは,検索エンジンによるデータ収集が可能な htmlファイル形式にしておくことが望ましい(ただし,この場合,すべてのhtmlファイルは,検索エンジンによるデータ収集が可能なように,リンクによってひとつにまとまっていなければならない)。

 いずれにせよ,上記のデータベース専用ソフトを使った方式は,一般の研究者にはかなり難しいので,研究者がボランティア的に作成するデータベースとしては,最初からhtmlファイル形式で作る方が簡単なのは間違いない。

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