3-1-1. 動画撮影装置の改良多くの生物には「動く」という特徴があり,動きによって表現される種の特徴などは静止画像では記録できない。そのため,動画として生きた状態を記録する必要がある。原生生物については,顕微鏡観察下で動画を記録することになるが,その際,通常の顕微鏡カメラと連携したビデオカメラ撮影システムを構築することが望ましい。
なぜなら,実験室で培養できるごくわずかな種類を除けば,野外にいる数多くの原生生物は培養が困難であり,また,それらに遭遇する機会も非常に希だからである。培養が可能な種,ないしは野外で頻繁に発見される種であっても,それが示す様々な生命現象の中には,希にしか起こらないものが数多くある。
それらの希な生物や希な現象は静止画で記録した方がよい場合もあれば,動画でないと駄目な場合もある。しかし,その希な現象に遭遇するたびに撮影装置を取り替えていたのでは,貴重な場面を撮り逃してしまう可能性が高い。
そこで,必要に応じて瞬時に静止画と動画の撮影を切り替えられるシステムとして以下のような条件を満たす装置(Zeiss社製四眼鏡筒)を特注で製作した。
1.通常カメラ撮影と動画撮影の光路をワンタッチで切り替え可能。
2.動画撮影中も双眼で観察可能な光の分配比率(80 : 20)のミラーを用いる。
図1. 動画撮影装置