公開講演会:生物多様性研究・教育を支える広域データベース
微 小 貝  山田まち子
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 1995年12月には、ようやく普及しはじめたインターネットのWebを利用して、パソコンの機種にとらわれることのない、オープンなデータベースの公開が実現しました。最初は民間プロバイダのベッコアメインターネットで、5MBという小さなスペースからスタートしましたが、現在では3000種以上の画像と学名などの分類学上の情報、採集地情報や、その他のコメントなどの情報を、日本語と英語のバイリンガルで広く一般の皆さまに無料で公開し、画像なども自由に利用して頂いています(図2&3)。

 なぜ英語版と日本語版と分けずに、1つのページでバイリンガルにしたかというと、3000種以上にもなると、各種ごとに1ページとして英語版・日本語版と2種類ずつ作成しなければならず、3000種ならば6000ページをデータベースだけで必要になります。既に作成した種のページでも、新しい情報を追加している関係から、毎回全てのページを更新しているため、FTPによる転送量も膨大なものになってしまいます。それにページを分けると、つい英語版の更新をサボってしまうので、日本以外の訪問者の方には見苦しくて申し訳ないのですが、あえてバイリンガル表記にさせて頂きました。ただ、できるだけ文字化けしないように、日本語表記で共通部分は画像ファイル化して表示するようにしています。


図2 「微小貝」メインメニュー

URL, http://www.bigai.ne.jp/

図3 図鑑の一部

 掲示板も文字だけの質問用掲示板や、同定などに役立つ画像対応掲示板などを複数設置し、一部の研究者やコレクターの方々だけでなく、一般の多くの方との交流ができる場を設けています(図4&5)。
図4 微小貝掲示板メニュー

URL, http://www.bigai.ne.jp/bbs_index.html
 このような生物系データベースを作成する場合にまず悩むのが、「どうやって分類するか?」ということがあげられると思います。私も手持ちの図鑑や文献をかたっぱしから調べて、それぞれの著者やその図鑑が作成された年代により、科や属が全然違う種もあり、中には和名さえ違うものもあり…で、頭の中が混乱した時期もありました。学会の方にうかがうと、「それは学会が認める図鑑や学会誌のものに従うべきだ」というお答えで、私も最初は、日本の図鑑などにできるだけ忠実に分類したものを公開していました。ところがそのうち、海外の研究者から「そのような属ははじめて見た」だとか、「種名が違うのではないか?」というご指摘を受け、慌てて調査したところ、科や属については、図鑑が作成された当時の日本の分類が細分化された属を採用しており、海外では認識されていないものが少なくなかったこと、種名については図鑑のミススペルをそのまま記載してしまったことが原因でした。そこで、これは私の個人的な選択ではありますが、日本だけでなくできるだけ広く海外の図鑑や文献を収集し、またインターネットでも検索するようにして、広く海外でも採用されている分類を選択するように心がけています。
図5 掲示板の例

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