公開講演会:生物多様性研究・教育を支える広域データベース |
日本産アリ類画像データベース 今井弘民(国立遺伝学研究所 / 総合研究大学院大学) |
アリ類画像データベースの特色 | ||
2. 社会の役に立つ分類データベース |
分類データベースは,生物の名前の戸籍簿として,学問に裏打ちされた分類体系に従っていなければならない。しかし一方では,誰でも使える社会に開かれたデータベースであるべきだと思う。この点アリ類データベースは学術と教育普及という2つの顔を持っている。学術用には,分類学的テキストの他に高品質の標本デジタルカラー画像を用いている。一方教育普及用には,プロの写真家による生態写真を基に小学生向けに書かれた印刷本をデジタル化してアリ学入門として収録している。これら2つのメニューは,高品質のカラー画像を仲立ちにして,ユーザーのニーズに合わせた複数の検索システムを導入することによって緊密に結びつけられている。このため,学術・教育両用データベースとして,小学生からプロの分類研究者まで幅広いユーザーの利用が可能になっている。
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図3 アリ学入門の1つ,学研の写真図鑑アリ URL, http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/ INTRODUCTION/Gakken79/title.html |
教育普及を視野に入れることで,ユーザーとの双方向の情報交換が必要になる。アリ類データベースでは,できるだけユーザーの質問に答えるようにし,その結果をアリQ & Aコーナーとして公開することにした。つまり積極的に社会サービスを行い大勢のユーザーの支持を得ることによってアリ類データベースの社会的価値が高まり,そのことが長い目で見てアリ類分類学を発展させる礎になるのではないかと期待しているのである。
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