配布案内方法の違い
原生生物CD-ROM第1版は,学会(原生動物学会,生物教育学会等)やその他の研究集会で参加者に無料配布しました。1000枚の半数程度は学会等を経由して配布されました。しばらくしてから,雑誌(「日経サイエンス」,「生物教育」等)に無料配布の案内を掲示させてもらい,EメールかFAXによる配布希望を受け付けました。
一方,第2版は,インターネット上に無料配布案内を出して,ネットワーク経由での配布希望を主に受け付けました。そして,学会等での配布はごく一部に限ることにしました。その理由は,学会等で配布した場合,誰に配布されたかが不明瞭で,制作者である我々の側に利用者からの反響が戻って来ないという,第1版を配布した際の反省に基づくものでした。
第2版の場合は,上記のように,主にEメールやFAXにより,配布希望を個別に受け付けて配布していますので,配布希望枚数と配布先以外に,その主な利用目的等の利用側の状況を詳しく知ることができました。
また,インターネット経由で無料配布した場合,配布希望者が殺到して対応できないのではないか,という不安も当初はありましたが,原生生物はアリほど一般の関心はないはずなので問題はないだろうと判断しインターネット経由の無料配布を実施しました。逆に,インターネット経由だけでは,配布の案内が十分に伝わらず,希望者が集まらないのではないか,という心配もしましたが,いずれも杞憂に終りました。
宣伝媒体としてのインターネットの有効性
雑誌等による配布案内を出した第1版の場合は,雑誌が刊行された直後に配布希望が殺到し,しばらくすると希望者がほとんどなくなるという傾向を示しましたが,配布案内をインターネット経由のみに限った第2版の場合,希望者が一時期に集中することはなく,1日あたりの希望者は少数ですがコンスタントに希望がありました。(1日あたりの希望者が少数のため,配布作業が日常的な研究や教育の業務に支障をきたすことはありません。)
そして,結果としては,配布開始から3カ月程の間に第1版を上回る量を配布することができました。これにより,インターネットは従来のマスメディアと同等かあるいはそれ以上に,宣伝媒体として十分機能することが証明されたといえます。
グループ配布への協力依頼
ただし,インターネット経由の場合,問題は,個別に希望に応じていると,郵送料がかなりかかることでした。CD-ROMの制作費は1枚あたり200円弱でしかありませんが,これを1枚ずつ郵送すると手間もかかる上,郵送費が制作費を上回ってしまいます。
そこで,配布希望はなるべくグループ単位で出してもらうよう希望者へ協力を依頼しました。その結果,後述するように,これまでの配布枚数は1人平均約10枚弱で,郵送料を大幅に節約することができました(表6-1)。