公開講演会:生物多様性研究・教育を支える広域データベース
牧野標本館タイプ標本データベース
 木原 章(法政大学 自然科学センター),加藤英寿(東京都立大学 牧野標本館)
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 タイプ標本のデータベースを完成後,牧野標本館では,文科省科学研究費の助成を請けて牧野標本30万件の全てのデータベース化の作業を行っている。ラベルデータについては,2002年の時点で既に6万件に達する入力を完了した。更に,標本画像も随時追加していくことにしている。標本の鑑定に約40年を費やした事を考えれば,データベース化ははるかに速いスピードで進んでいると言えよう。しかし,世界的に見るかぎりは日本の国内標本のデータベース化は明らかに遅れていると言わざる終えない。現在,国際的な活動として行われているGBIFに於いて,植物標本のデータベース化は東大・京大と言う専門家内では強い意見を言えるグループによって進められているようであるが,依然として日本に牧野標本データベースありきと言う状況は変わっていない。今後,世界各国で作られている植物標本データベースを対等の立場で利用するためには,日本から世界に向けて植物標本の情報を発信することは重要な意味を持つ。牧野標本館の活動が,今後GBIFを含めた世界的なデータベースの輪にどのように関与していけるかが,我が国の植物標本データベースの未来を占うと言っても過言ではないかもしれない。

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