公開講演会:生物多様性研究・教育を支える広域データベース
日本産アリ類画像データベース  今井弘民(国立遺伝学研究所 / 総合研究大学院大学)
アリ類画像データベースの特色
back 3. データベースの鍵を握る検索システム back

(3-1)中身の見える検索方式

 現在出回っている多くの分類データベースの検索は,検索用の四角い空欄にキイワードを入力すると,それに見合った情報が出力されるようになっている。この方式は,インターネットのサーチエンジンとして実用化されている,googleやyahooなどと同じ全文検索方式である。素材を用意し検索ソフトを稼働させるだけなので作り手にとっては簡便ではあるが,中身が見えないため分類の素人には適切なキイワード(正確な学名や和名など)が入力できず利用が難しい。この困難は,日常語で表した見出し一覧など中身をユーザーに見せることによって,格段に使い勝手がよくなる。

 日本産アリ類では273種しかないので,見出し項目に和名と学名のボタンを用意し,クリックすれば和名は五十音順で,また学名はabc順で全種一覧が見えるようになっている。種数が多い場合は,まず属か科単位の一覧を示してクリックするとそれに含まれる種の一覧が見える2段階方式が望ましい。例えば植物の場合,まずサクラやスミレのような日常語の一覧を用意し,名前をクリックするとそれに含まれる種名一覧が見えるように工夫することによって,正確な和名を知らないユーザーも中身を見る(検索する)ことができるようになる。データベースは使ってもらってなんぼの世界である。一般ユーザーは少しでもつまずくと見てくれない。「そんなユーザーは相手にしない」というのではなく,「そんなユーザーもつい覗いてしまう」ような工夫が必要である。そのためにはクリックすれば中身が見えるようにすればよい。この「クリック&オープン方式」こそデータベース検索の基本と考えている。


図4「日本のアリ」和名一覧

URL, http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/Index/index.html

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