はじめに
アサガオは日本には奈良時代に中国から漢方薬として伝来したと推定されている。現在でも漢方薬として種子の粉末を緩下剤その他の目的で使用している。三尖葉(三裂片葉)で花径が5〜6センチの青色丸咲であった。薬用として伝来し栽培されたが,花が大きくて美しいので人の目にとまりしだいに観賞用としても利用されるようになった。文 献
アサガオの原産地については熱帯アジアか東南アジア地域ではないかと推定してきたが,最近の研究により,著者は熱帯アメリカとした方がいいと考えるようになった。アサガオは世界の熱帯地域に広く分布しており,最近地方種としては東アジア,西アジア,オーストラリア,南アメリカ,中央アメリカ,アフリカのアサガオを栽培し,形質を調査したので以下に説明する。
最初にアサガオの一般的な形質を記しておこう。
種子は黒色, 短い毛がある。 胚軸は赤みを持つ。 2枚の子葉は子葉柄を通じて胚軸につながる。 子葉の裂片を耳と言う。 葉は主裂片と側裂片からなる3尖状で, 葉柄を通じて茎につながる。 茎は茶褐色で毛がある。 花弁5枚が合弁となり漏斗状を呈する。 花梶Eは青,花筒は白である。 花弁の中央帯部を曜と言う。 萼片5枚,花径は5〜6cm,雄しべは5本,雌しべは3心皮性で,子房は3室,各室に2胚珠があり内側に付く。したがって3室6胚珠子房である。6胚珠が全部受精して発達すると6種子ができる。花式はK5C(5)A5G(3)である。アサガオの花序は岐散状(dichasium)で, 頂花の2枚の包葉腋にそれぞれ1花, さらにその包葉腋に次の花がつく。 しかし1花梗に5花を観るのは稀である。 茎, 葉の表裏, 葉柄, 萼に表皮毛がある。